藍住町議会群馬県視察研修

26年11月25日~27日
視察研修先・群馬県佐波郡玉村町他

山口大臣と
国会議事堂

●阿波踊り空港25日11.00に出発し羽田空港ホテル内で昼食後、霞ヶ関・議員会館を訪問。大臣室にて山口俊一科学技術担当大臣の歓迎を受け歓談。衆議院解散直後とあって選挙準備や、はやぶさの打ち上げが迫っており種子島へ出発の予定など大臣としての仕事も多忙を極め地元徳島にもなかなか帰れないなど嬉しい悲鳴の近況も伺った。

歓談のあと各議員おそらく一生縁のないものと思われる大臣の椅子に座らせていただき山口大臣と共に記念撮影、衆議院戦与党勝利を誓い議員会館を後にした。また山口大臣は東京を発つ前に我々の宿泊先であるグランドアーツ半蔵門に立ち寄られグラスを交わしながら懇談した。
画像の説明

●26日首都高、常磐道を走り茨城県つくば市「みずほ村市場」を視察。

① 株式会社みずほ・設立平成2年10月。代表取締役・長谷川久夫。
② 運営の仕組みは生産者との間に委託販売契約を交わし、販売所「みずほの村市場」で販売する。
③ 販売額の伸び

生産者が陳列
生産者が陳列

平成3年決算時点―1億円
平成10年    3.7億円
平成20年    5.9億円
平成26年    6.2億円 (50名の生産者)
④ 取り扱い品目と販売額
野菜等        3.41億円
花等         0.90億円
自然食品       0.69億円
蕎舎(12年4月開店)  0.50億円
その他        0.70億円
  
⑤ 生産者組織及び品目
直売所「みずほの村市場」で農産物を販売する生産者は50名となっている。当初と比べて、年齢層は若くなり増加してきた。また、これら生産者は「みずほ農業経営者会」を組織しており、活発な活動を展開している。例へば、稲作り体験、村祭り、手打ちそば、愛好会、ひまわり迷路などのイベントに取り組み消費者との交流を深めている。おおよその経営類型は、農産物直売所、堆肥製造販売等である。
⑥ 消費者全員
会員数        13000名。会員証を発行している。
年間延べ利用者数  30万人
利用客移住地域   土浦市、つくば市、取手市、つくばみらい市、常総市、下妻市他
          千葉県や東京都(全体の1割)
一人当たりの利用額単価・約2000円
⑦ 広告等
予算額     1万円/日
PR方法    店舗・東京銀座に出店(平成6年度。田植えから稲刈りまで実施)
        新聞、雑誌等マスメディア
        視察研修者を通じて。100団体/年

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⑧ 施設
敷地       4000㎡
うち駐車場    1500㎡
事務所、研修所  300㎡
苗ハウス     150㎡
加工所      50㎡
堆肥舎      300㎡
蕎舎       180㎡
⑨ 労力
みずほの村市場・店長1名・販売担当-朝5名・晩3名
加工所3名・蕎舎7名・環境整備1名・生産研究部5名

●課題と展開方向

1、課題
生産者の意識改革:原価計算に基づく品質向上と価格の設定、必要規模及び所得の確保。消費者への農業理解と選択肢の自由と責任。
2、展開方向
「みずほの村市場」の販売額の増大。
フランチャイズ制の導入。
これまでに培った生産、販売のノウハウを基に全国展開。
直売所を起点とした地域想像産業の確立。

●運営の考え方

・生産者―農家の生活が豊かになればいい―半分の面積で、従来通りの所得を確保し余暇を豊かの過ごすこと。
生産者の立場に立つこと ― 安売りの産直では行き詰まり、結果的に農家の生活が苦しくなる、原価計算に基づく価格の設定により生産者に利益が出るようにする。そのためには最高の品質を生産できるようにする。
農産物に高い、安いはない―中身(成分)が違うのだから。
自分で値段がつけられるように。

・注目すべきは生産者に対する会社のルールです。契約農家が市場に並べた農産物の年間売上が360万円以上に設定されており、それに満たない場合、不足額の15%を会社に支払うペナルティーを課していること、同業者より値を下げることは絶対にしないなど、そのため生産者は効率化や品質向上に精を出し結果的に消費者とも信頼関係ができ、この経営方針が成功したことだ。しかし、最初は農家の大反発があった。長谷川代表・安売り合戦は結局農家をダメにしてしまうと、しみじみ語った。消費者―ー農業を理解した人だけが買ってくれればいい。

・長谷川久夫代表は、1961年の農業基本法により全国各地に17000ヶ所の産直市ができたが農業経営者は恩恵を受けていない。農業所得は年間80万円。みずほは1農家800万円売っている。農業経営者を育てなければいけない、物は信頼で動く、農産物が商品になっていない。
各商店の売り場面積、適正規模の6倍もあり広すぎる、物が多すぎて余っている。
等の説明があった。長谷川代表の講義は「農業が一番大事だ」その想いが伝わってきた。
驚きは50の農家が6億円の利益を上げていることだ


つくば市JAXA筑波宇宙センターを見学

宇宙船 ロケットエンジン
宇宙船 衛生
広々とした館内は宇宙開発の歴史や日本が開発してきたロケット等、はやぶさの展示もされていました。宇宙船内の様子、宇宙船の大きさに圧倒、ロケットエンジンの性能は世界でも最高水準、写真のエンジン一基で大型旅客機の出力がある。我が国の宇宙開発が世界をリードする存在になることを期待する。

・外環道・関越道を走り坂東三十三番観音十六番札所に寄り、宿泊先の渋川町伊香保温泉に到着。

27日・研修先・佐波郡玉村町役場10時に到着

研修
役場

玉村町は人口37,000人、面積25,81㎡、群馬県南部に位置し、南を烏川で画され、町の北部を利根川が、町の中央を滝川が流れる。全域が平野部であるが、南部の烏川流域が沖積低地であるのに対し、北部の利根川流域は洪積台地である。町の中心地はかつて例幣使街道の宿場町であった下新田地区である。人口は県内の町村としては大泉町に次ぐ。

広さ人口規模などは藍住町と類似した町である。町長、議会議長、担当職員らの暖かい歓迎を受け研修を受けた。
1、 玉村町文化センターの建設に関する経緯について、
質問、文化センター建設に関して、設計構想段階で住民の意見は反映されたのか。
回答・文化センターは平成5年5月にオープンした、担当は当時の社会教育課で建設委員会には、担当課の他、文化協会、公民館運営審議会、また、識者として歌舞音曲に造詣の深い住民の方や、図書館の識者として、学校の司書さんが選ばれ、何回も会議や、視察を行い、着工するまで3~4年ほどの構想期間がかかった。

質問・文化振興財団の運営形態の概要、この運営形態をとった経緯、財団のメンバー、助成金、寄付金について。

回答・文化振興財団は文化センターにある、大ホール及び小ホールの運営を行っている。コンサートの開催や、舞台装置の操作を行なっている、一つの建物に、公民館、文化ホール、図書館、歴史資料館が入っているため、財団だけで文化センターを運営することは難しいと判断したためだと思う。

リハーサル

財団のメンバー
評議員   10名
理事    10名
幹事    2名
顧問    1名(非常勤・無報酬)
事務局長  1名
技術係   3名
事業係   1名
臨時    2名
補助金  5,500万円/年  年度末に残金を変換
寄付金  なし

○管理運営の形態

玉村町教育委員会 生涯学習課
社会教育係    文化センター全体の施設整備・管理運営(大ホール、図書館、歴史資料館含む)施設予約の受付(ホール、研修室等)

公民館係     公民館講座の企画・運営
図書館奉仕係   図書館の運営
文化材質文化財係 歴史資料館の企画運営
・(公財)玉村町文化振興財団  鑑賞事業の企画運営・販売・協力・ホールの舞台・音響照明の運営協力。
質問・センター利用率について
H25年度・会議室31%和室28%工芸室46%調理室57%視聴覚室31%研修室28%リハーサル室19%大ホール15%小ホール21%

回答・センターの管理運営費
玉村町文化振興財団補助金
平成26年~55,000千円(鑑賞事業の実施、ホールの運営)
管理運営事業費(委託費)
平成26年度(清掃、夜間常駐警備、樹木、衛生管理の委託、空調、音響、舞台吊物、舞台証明保守点検、消防設備、電気設備の保守点検、工事の設計委託など)
21,526千円
等々、施設管理運営費用には年間1億円余りの費用が必要となる。
自主事業をやればやるほど費用がかかる、有名アーティストの公演はチケット収益はあるものの運営費も多額になる。

1、乗り合いタクシー「たまりん」について・採算性・今後の課題について

回答
○路線バス3路線(民間2と委託1)
・永井バス(補助金交付) 前橋市(前橋駅)~玉村町~高崎市(新町駅)
・群馬中央バス   高崎市(高崎駅)~玉村町~伊勢崎市(伊勢崎駅)
・日本中央バス   前橋市~玉村町~伊勢崎市
○民間タクシー  町内1社  町内営業所(乗車場所)有2社
○鉄道駅 無し (最寄り駅は高崎市新町駅5km、前橋市駒形駅7km)
◆福祉分野で「在宅福祉移送サービス事業」「老人福祉センター送迎バス」有り

2、 乗り合いタクシー導入の背景について。

・バス路線のない地域は交通空白地域であり、公共交通への要望が以前からあった。
・自家用車を持たない人は移動手段がなく、公共交通への要望が高まった。
・周辺市町村では、既に市町村乗合バス運行を行っており、町でも乗り合いタクシーの運行を決定。

3、 乗り合いタクシー導入の基本的な考え

・運行方式  有資格事業者と契約し、運行費を補助する
・運賃設定  有料(ワンコイン100円の均一料金)
未就学児無料・受益者負担の考えと低所得者層への配慮・群馬県市町村乗合バス補助制度の交付対象になれる。
  ・小型の10人乗りワゴン車
   地域の中を細かく運行する
   特別仕様を整備(車椅子電動リフト・ドライブレコーダー搭載)

◆住民サービス福祉目的なので採算性はないと言うことです 

質問・今後の課題について
・利用者の要望にどこまで答えられるか
便数を増やす・待ち時間を少なくとの要望には車両3台の体制では限界がある。
他コース・路線バスとの接続を考慮したダイヤを設定
停留所施設の充実
・収支率増を目指す
   利用者の増加を進める(定額運賃のため収支増には直結しない)
   広告収入の増加(運行会社へのインセンティブ付与も検討)
   効率的な運用で経常費用を削減
・交通の現状や人の流れに対応したルート・ダイヤ
   新国道354の開通による交通の流れの変化に対応
   新しくできる道の駅の活用
   公共交通を必要としている住民の移住地の変化
・新たな公共交通のかたちの検討
    根本からの運行改正が必要か
    デマント方式の公共交通の可能性
●以上の回答から、住民の要望で街中を走らせる公共交通の運営がいかに経費と労力が必要か、町の財政が豊かであること。関係団体との協力連携など難題が山ほどある。
 急速に進む少子高齢化社会で暮らしやすいまちづくりをどこまで求めるのか住民の要望は財政と直結していることも認識する必要がある。

視察研修の日程は終了。今回の研修では主に藍住町が取り組んでいる福祉施設の更新について参考にするため文化施設の研修を行った。玉村町でも福祉事業は文化ホールなど施設の運営は収益を上げるのは容易ではなく長い将来にわたって維持管理が多額の費用を必要とし苦慮している様子が伝わってきた。

多くの地方自治体では人口減少時代に入った社会情勢から長期的な視野に立って福祉施設の見直しや広域化が検討されている。日頃、住民が施設をどのような形態で利用しているのか、その必要性や需要など綿密な計画のもとに進めなければ将来に大きく禍根を残すことになる。研修でご尽力いただいた玉村町の皆様に心から感謝申し上げこれからの議会活動に活かしていきたいと思います。以上、視察研修報告・藍住町議会・西川良夫

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