藍住町議会定期的に議員研修を計画

6月に行われた研修内容は。
テーマ。地方議会の今後の展望と日頃の心構え。講師は元四国大学経営情報学部教授の、地方自治にも詳しい、H先生。
永年、各地方議会代表から構成される地方自治フォーラムの会長として会の運営にご尽力をされ、23年4月に会長職を辞任。後任に託された。当会の会員でもある私もH先生には大変お世話になっているところです。

H先生には、事前に藍住町議会の特徴など、これまでの運営状況を説明し、特に22年11月に発覚した、副議長による女性町職員を唆して情報を聞き出し、僅かな利益の為に、大麻密売組織に情報を漏洩したことで大阪府警に逮捕されるなど前代未聞の事件を引き起こし、既に議員を辞職しているが、また、町副町長が官製談合事件で逮捕されたことについても、元副議長が深く関与していたとして再逮捕された。なぜ、このような常識では考えられないような事件が発生したのか、結果的に職を失うことを考えると、余りにも代償が大きい。

多数派は空気によって行動する
大半の人は空気によって行動しているとよく言われる、やってはいけないことと思っていても、やってしまうその精神状態は空気を作り出している環境に支配されているのではないかとしか思えない。人それぞれの生活環境で生きている中で、見ずからの行動は日常の空気によって支配される、特に、近年、自分さえ良ければと言う自己の利益最優先の欲望が世界を支配している、国民の生命と財産を守ることが政治の目的であるはずが、一部の欲深い連中に利益が集中するような、システムが長年継続し、その余剰分の受け皿として、低賃金で使い捨てにされる非正規労働者が4割にも達し、結婚したくても出来ない若者が急増し少子化が加速していることは、厚労省も認めているところだ。町職員を含め議会でも、これくらいのことはいいだろう、とか、分からなければ、という空気が蔓延しているのかもしれない。
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その為、議会の役わりや使命、責任など基本的な議員一人一人の自覚を初歩から学び思索することにより正常な議会の空気を構築する必要がある、その基本的な心構えを、H先生にお願いした。
講義内容は二元代表制における地方議会。大統領制ともいわれるもので、首長、議会議員とも直接住民から選ばれ、共に住民を代表し、それぞれが住民に対し責任を負うところに特徴がある。民意は二つ、相対的多数の民意と少数意見をも代表して選ばれた民意。地方自治はこの2つの民意の対立を前提として、肯定的にとらえている。

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期間対立主義とは

首長と議会を住民代表機関として並列に置き、住民の意思を反映しているということについて競い合う関係にあることを意味している。
二元代表制の特徴は、この両者の対立を降り超えて、より良い政策、施策を実現しようとする過程にある。
基本的には機関相互の対立を前提として、首長と議会がこうした対立を乗り越える過程である、したがって、そこには節度、良心、常識というものが必要である。
互いが長所と短所を補い合うのが制度の趣旨だが、距離の取り方は難しいものがあり、永遠の課題と言える。

首長主義

二元代表制の下、首長と議会は対立関係にある一方で、あらかじめ首長に優位な仕組みが内包されている。
・自治法149条(概括例示主義)と96条(制限列挙主義)
・予算案の提出(議会は修正のみ)
・長の再議請求権及び長の専決処分
・行政立法が認められている。行政国家化の一因
・予算、人事の提案者は首長にあり、それに伴う情報も首長に集中する。

なぜ議会は、長に比べて影が薄いのか

地方分権改革、自己決定、自己責任論
自治制度上の問題、首長の優位性
行政を執行するのは首長であり住民はその受けてとして、直接恩恵を受けたり、負担を負ったりしている。
生活保護の支給や介護認定の申請、施設への入所措置、各種補助金の受給、税の免除等。

住民にとっては政策実施過程こそが行政と直接接する機会となる。
全て首長宛て申請したり、首長名で決定がなされる。いやでも首長を意識することになる。議会がどれほど良い議論をし、良い議決をしても、これを執行する機能を有していないため結果として執行機能を有する首長にはかなわない。

この溝をどうやって埋めるか、どのようにその存在感を高めていくかが、議会の活性化、議会改革。首長に負けないだけの発信力を発揮する必要がある。

先行した行政改革により、創意工夫を求められた首長は住民の声を直接聞く努力を怠らない。
・パブリックコメント
・首長を囲んでの車座会議、住民との各種懇談会
・市民会議と称する政策立案段階での意見拝聴の会議
・各種施策の地区説明会
・敬老会、成人式等の慶祝訪問
・各種団体の会合、イベントへの来賓招待、等
寄せられた意見をすぐ行政にフィードバックしていける。
このサイクルが続けば、議会や議員の姿はより見えにくくなり、そして軽くなっていくため議員なんかいらない。ということになる。
顔の見える長。顔の見えない議会は議会無用論に対抗できない。
よい仕事をしても、住民に伝わらなければ意味がない。
議会からの情報は提供ではなく。共有を、会議録以外の情報を整理し伝える努力インターネットを活用するのはよいが、コンテンツが重要。

過去の議会改革

何よりも、チーム議会としての下地がなければ、必ず失敗する。
議会改革もまずは、議員報酬や定数削減で経費削減を図り、行政改革の一端を担うことから入っていかざるを得なかったが、それでは、長等が主となり、これに協力するに過ぎないもので住民からは評価されない(当然の事をしただけとの評価)努力したにも関らず、当面の批判は交わせても、相変わらず主体的に何をしているのか分からない状況になり、議会活性化は後回しになる。

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何をどう取り組んでいけばいいのか
以上により、議会の信頼回復とは正に、議会の存在感、発信力の回復、向上を図るための動きと言える、何をしていて、それが住民にどのような関わりがあるのか?
とにかく、知ってもらう、じっとしていてはダメ(これは永遠の課題)
議会(議員)は何をしているのか分からない、そのために

・日頃の仕事ぶりを知ってもらう。持っている情報を積極的に発信する。
・住民の意見を聴く、住民と一緒に考える。(情報公開・住民参加・住民との協働)
・職員も住民であることを忘れない。
長の追認機関なのか、反対するだけの単なる抵抗勢力なのか。
議会本来の熟議の為には、議員の資質、能力の強化が求められている。
その他・住民とのコミュニケーションの場を持つこと。

北海道浦幌町議会では、議会の活性化策の中で実施した住民アンケート調査において、議員を住民との距離が遠い、議員に伝える場がない。などの意見があり、議会が住民とふれあい、意見交換ができる場を設けることにした。
住民との交流、意見交換の場である「まちなかカフェDE議会」はスーパーや公共施設などの一角にカフェコーナーを設置し、訪れた町民と議員が意見交換する場を設ける取り組みをしている。
お茶を飲みながらざっくばらんに、おしゃべりすることで、町民との距離が縮まったことを実感しただけでなく町民の本音が聞ける利点もあると言う。

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この研修会を通じて、議員各自が、将来この藍住町をこんなまちにしたいという、まちづくりの理念をしっかり持って、その為にはこんなことをしなければならない、或いはこんなことをしてみたい、してはどうか、又はすべきでない等の議論に臨むべきである、ただ、単に相手が気に入らないから反対とか、自ら調べもせずに風評を述べて責任は取らないとか、思いつきを述べるだけ、さらにはとにかく言ったものの勝ち(議事録に残すことが目的)などの態度に終始するというのでは、もはや、議会という憲法に根拠を置く合議体としての機関の立場を放棄して、ただの烏合の衆に過ぎないものとなってしまう、いずれ住民からは見捨てられる。

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住民が求める議員像とは
議員の役割りとしては、浅くとも広い知識を持って、客観的な判断をすることが求められる。
自治体職員との関わり方
職員を敵視することが健全なのか、公務員に対する批判
・公務員は楽な仕事
・その割に高収入を得ている
・責任を取らない
・満足に仕事をしなくでもクビにならない
・不祥事が多い
・態度が悪い。偉そうにしている。上から目線でモノをいう。
公務員を派手に叩くと、拍手喝采する住民が少なからずいる。選挙でアピールできる(票につながる)
しかし、職員は敵ではない、また部下でもない。
税金で雇われている行政の専門家として、気持ちよく、やりがいを感じながら仕事をしてもらうべき。 一緒になってまちづくりに取り組むパートナーとしての関係であるべきだ。
職員は首長の補助機関であって、議員の部下ではない、住民として接する姿勢が重要・職員も住民のために仕事をしていると言うことを忘れず、その仕事の質が高くなるように、情報交換したり一緒に考えたりすると言うスタンスで関わっていくこと。
そうして得られた、結果を議会での議論に反映させれば、提言した政策が、現場にすんなりと受け入れられる可能性が高まることになる。

住民との付き合い方

議員の周りに集まる住民は2つのタイプがある。
地域社会をよくしたいと考え、議員を通じてそれを実現しようとするタイプは議員をよくする存在で(議員を育てる存在)
一方で議員の権威を利用して、自分を大きく見せようとする、あるいは自分の利益につなげたいと思っているタイプ(議員を悪くする存在)

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議員は想像力を磨き、住民感覚を持ち続けること。そして、町の為を思っているタイプの人からのアドバイスが風通し良く届くようなシステムを普段から作っておくこと。
地方議会は、国会とは異なり最高機関たる性格を持たない。議会は、長と対等の関係にたち、それぞれ法定された自己の権限を自らの判断と責任で相互に独立して分担する。議会は、執行機関に対して包括的な監督権を持つわけではない。
まだまだ書ききれないが、講義終了のあと、質疑応答の中で議会の中で、与党とか野党などと言っているがおかしいのではないかという質問があった、先生はその通り、地方議会で与党、野党などと言っても意味がない。国会は議院内閣制であるため与党、野党は明確に立場が違うそのための活動、主張も違い政策を巡って議論するなど、また、法律の立案などの立法府としての責任があるが、地方議会とは全く違うことを認識することが大事だ。との説明。

確かに、与党派は町長派として、町長派は自民党派としての協力関係にあり首長も多数の与党派としていることが自分の選挙に大きく影響すると思い込んでいる。また、与党派としていることで予算の配分や配慮の恩恵を受けることに期待している、しかし、このような構図が様々な事件の原因になっている、利害関係に絡んだ贈収賄事件に発展することも日常となっている。そもそも、自民党に協力しなければ交付金の配分に影響があるなどは矛盾も甚だしい。

このような利益相反のようなことが長年当たり前のように続いているため、政府に対して言わなければならないことも言えない空気が漂っているのではないか。このような権力の横暴が継続する限り国民の安全も幸せもないことが証明されている。地方議会も住民一人一人もメディアのfake newsに騙されるのではなく、自ら情報を取り何が正しいのか、何が問題なのか、自らの頭で考え、行動しなければ取り返しのつかない国になるのではないかと危機感を持っている。
歴史上日本は素晴らしい国と世界から憧れの視線が注がれていた時代もあった、将来に希望をもちこの国を再び素晴らしい国にするのは結局、国民でしかない、その最前線が地方議会だ。
藍住町議会議員研修は隔月で実施することが計画された、また、各種団体との意見交換会も定期的に実施していく、必ず住民に信頼される町議会になることは間違いない。

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