6月末、国の借金1088兆円=1人当たり860万円の嘘



相も変わらず、財務省は「政府の負債」を「国の借金」と呼び、しかも人口で負債総額を割るというわけのわからないことをした上で、
「国民1人当たりの借金は約860万円」と、悪質なプロパガンダを続けている。

騙されないために、国の借金プロパガンダの問題点。

1.政府の負債(Government debt)を「国の借金」と呼び、債務者を曖昧にすることで、日本国民に「自分たちの債務」という錯覚を起こさせている

2.政府の負債を、債権者側の国民の数で割り、「国民一人あたり860万円の借金」と、債権者・債務者がひっくり返るプロパガンダを展開している

3.そもそも政府の負債は増えていくもの、というより資本主義国において「負債は増えるもの」という原則を無視している

4.誰かがおカネを貸しているとき、誰かが借りている。誰かがおカネを借りているとき、誰かが貸しているという「原則」を無視し、一経済主体に過ぎない政府の貸方(負債)のみをクローズアップ

【2018年3月末時点(速報値)日本国家全体のバランスシート(億円)】
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5.政府の負債(国債)のおよそ45%が日本銀行に保有され、実質的に返済、利払いの負担がないという「事実」を無視している。返済不要な日銀保有国債分も「国の借金」とやらに積み上げている。

【日本国債所有者別内訳(総額は996兆円)】
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6.財政健全化の定義は政府の負債現象ではなく、「政府の負債対GDP比率の減少」であり、日本銀行の金融政策により、「政府の実質的な負債対GDP比率」が下がり続けている。つまりは、財政健全化はすでに達成されているという「事実」を無視している。

【日本政府の負債残高(左軸、億円)とGDP比率(右軸、%)】
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7.財政破綻は「外貨建て(もしくは共通通貨建て)」の政府負債でしか起き得ず、日本国債は100%日本円建てという「事実」を無視している。

とにもかくにも、財務省の嘘を終わらせない限り、日本は小国化、衰退途上国、中国の属国、という未来から逃れられません。

しかも厄介なことに、デフレ期の緊縮財政は財政を悪化させ、緊縮財政路線を正当化します。

すると、「老朽化した水道管の交換? カネを出せないので、水道民営化・広域化で対応」「経済成長のための支出? カネを出せないので、IRでカジノを解禁して民間投資を呼び込む」などなど、緊縮財政が構造改革の土台になってしまうのです。(三橋)