藍住町議会行政視察研修実施・2018/11/14~16
11月14日午後、益城町役場到着(仮庁舎別館大会議室)
稲田忠則議長・西口事務局長等の歓迎を受け研修会を開催して頂きました。
益城町は、2016年4月14日、熊本地震で震度7の揺れが2回、震度4以上が145回発生している。住家被害全壊3,026棟、半壊3,233棟、直接死20名、震災関連死25名、重傷134名。の甚大な被害に見舞われた。
元々益城町の人口は34,499人、世帯数13,455世帯が、震災後、人口1,498人510世帯が減少。震災状況や、発生時に議会はどのような行動をとったのか、また、議会の役割などについて質疑等行った。
事務局から28年熊本地震・益城町による検証報告書による説明。
❶ 震災直後の町議会の判断
役場(災害対策本部も含む。)の状況等から、議長判断(町執行部と協議のうえ)により、各議員はそれぞれの地区に張り付いて被害状況の把握や被災者ニーズの把握等に従事した。
❷ 被災者ニーズヘの対応等
町議会に対し、県議会議員を介し、国(経済産業省)から「益城町で 困っているもの、不足しているものを教えてほしい。」との連絡があり、 当時、上下水道が広域にわたり破損し、特にトイレに困っている状況であったため“仮設トイレ”の配備を依頼した。
搬送された134基の仮設トイレの配備について、当時の町執行部は、避難所の対応等に追われている状況であったため、議員と区長(自治会長)等で各地区の自治公民館に設置した。
❸ 全員協議会の開催
町の被害状況、復旧状況の把握及び議員間の情報共有を目的とした「全員協議会」を5月・6月に10日に1回のペースで開催した。町執行部からは町長以下各課等長が出席し、現状(被災)の報告や今後の見通しについて報告を受けた。
また、各議員からは地区ごとの現状及び要望を町執行部に説明する場とした。さらに、当時は避難者に情報がうまく伝達できていない状況であったため、全員協議会での事項等を各議員経由で区長(自治会長)等に伝達した。
※応急仮設住宅建設候補地の情報提供等
建設候補地の情報提供及び地権者のとりまとめ益城町における仮設団地(最終:18団地-1,562戸)
❹ 震災後の町議会の開催
6月議会(第2回定例会)は、震災の影響で開催できなかったため7月26日に時期をずらして開催した。7月議会では、一般質問と常任委員会を割愛し、会期を1日とし議案の審査・採決を行った。
また、町執行部と緊密な連携のもと復旧・復興に取り組む体制を構築するため『災害復興特別委員会』を設置した
○災害復興特別委員会について
災害復興特別委員会の立上げ。平成28年7月26日開催の平成28年第2回定例会において、議員提出「災害復興特別委員会の設置について」を可決。
❶目的
平成28年4月に発生した熊本地震による甚大な被害に対して、町執行部と緊密な連携のもと全町あげて復旧・復興に取り組むため、本議会に災害復興特別委員会を設置する。
❷主な業務
(1)町執行部が行う復興計画等の作成(策定)に対して、議会としての意見を取りまとめ町執行部へ通知する。
(2)町執行部が行う復興等に関する情報を議員へ提供する。
(3)国や県等への復興等に関する要望を取りまとめる。
(4)その他町議会議長の指示する事項
❸委員会の組織(構成)
(1)委員:全員
(2)役員:委員会で選任し議長が指名する。
委員長 1名。副委員長 1名。理事 4名
❹開催
月1~2回を基準に町執行部と連携し開催する。
(平成30年10月末までに、25回開催)
○その他
(1)益城町復興計画策定への参画
災害復興特別委員会の正副委員長及び理事の決定
(第1回 8月17日)
・復興計画策定委員会の選任
策定委員 2名(正副委員長)
専門部会 4名(理事) ゛
(くらし専門部会、復興まちづくり専門部会、産業復興専門部会)
・各専門部会の報告(各理事から)
※町復興計画は、28年12月議会において承認
(2)都市計画道路 益城中央線連絡協議会への参画
議会から協議会の委員に県道熊本高森線=(都)益城中央線 の4車線化事業。
(事業主体:熊本県)
(3)益城中央被災市街地土地区画整理事業への参画(木山地区の土地区画整理事業)
議会から協議会の委員に
①名称:熊本都市計画事業益城中央被災市街地土地区画整理事業
②施行者:熊本県
③事業施行期間:事業計画決定の公告日~平成40年3月31日(2028年)
④施行面積:約28. 3ha
⑤減歩率 地区全体の平均 9. 9%
⑥事業費:約126億円
※町負担 約8億円
(4)益城町まちづくり専門委員会への参画
“まちづくり協議会”から提案のあった案件(当面は避難路・避難地を重点に)について、審議議会からまちづくり専門委員会の委員に
熊本市、市役所行政視察 11/15
午前9時過ぎ熊本市役所に到着。
震災の被災状況と、発災時の職員、議会の対応、課題などについて質疑応答。
人口74万人、熊本城を有する観光都市は2016年発生の地震によって、建物被害は全壊5,764件、大規模半壊8,966件、死者87人、重傷者770人と甚大な被害をもたらした。
被害総額16,362,9億円
議会の対応
(1) 熊本地震発生時から議会事務局の対応について
・議員の安否確認
・議会棟の一部(予算決算委員会室)を一時避難所として開設。
・災害対策本部からの情報を各議員へメール・FAX等で送付。
・事務局職員は避難所運営等の業務に従事。
対応時の問題点
・地震発生直後は携帯電話等が繋がりにくく、議員の安否確認に時間を要した。
・災害対策本部からの情報を議員への提供する際は、FAXの利用が多かったが、情報量が多いため送信に時間を要した。
・議員からの要望等は事務局で取りまとめて関係課に伝えたが、一部、議員個人による直接的な動きもあった。
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●災害時のマニュアル等は何の役にも立たなかった。実際、災害が発生すると行政は何もできない、しかし、市民はすべて行政がやってくれるものと思っているのか、職員等への厳しい不満と罵声等が浴びせられた。
住民のあまりにも厳しい追及や罵倒にも耐え、職員一同不眠不休で対応に追われ、心身ともに極限の状態で頑張ったが、中にはそのストレスに精神的に耐えられず退職する職員もいた。
避難所運営にしても開設後の運営は住民の協力で行うことができるように、平時から各地域で体制を作る必要がある。
日頃から、隣近所の付き合いを密にして、自然災害等には「共助」の精神に基づき助け合うことが一番の防災であり、行政を頼っても助けられないことを個々で自覚してもらうことを市民に訴えている。との説明。
◆研修成果は・災害時に役場は何もできない、自らを守るためには人を当てにしないこと。
近年、全国各地で自然災害等によって、多くの方が犠牲になっていることについては、心からお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げなければいけないが、多発する災害の教訓は、家が倒壊するのも、水が飲めないのも、腹が減るのも、死亡するのも全て自己責任であり行政の責任ではないという事。
国土を守る防災対策、インフラ整備が進まないのも、国に訴えない国民の責任なのである。