議会改革の行へ
藍住町議会の議会改革

昨年9月22日に設置された議会改革調査特別委員会は、今後予想される議員のなり手不足を懸念して、議会の魅力や政治に関心を持ってもらうことで、議員と言う公職に意欲のある人材が確保されるよう進めるはずだった。

議会改革とは、議員の役目は三つしかない。執行部の監視・提言・住民との対話。その三つの中で最も重要なのは、住民との対話である。議員と言う立場を考えたとき地方議員は、日常住民の最も身近な存在として地域で住民と共に生活している。

国会議員のように地元を離れ東京の国会中心に活動しているわけではない。国会議員は国会内でどのような発言をしようが、法律で守られているため一切責任を問われることがない。最も次の選挙では落選の可能性もあるが、国民の反対を無視して政策を執行する権力をっ持っているのである。

一方、地方議員や首長は、常識はずれや変なことをすれば、住民側から議会の解散、議員の首をとる権利を持っているのである。したがって、地方自治に詳しい先生方も口をそろえて、まず、住民の声をよく聞くことだと指摘する。

しかし、現実には、議員になったんだから偉くなったと勘違いして、住民は議員より下だと言わんばかりに思い上がる愚かな議員も少なくない。議員は完全な住民の代表ではない。住民の代行者と言ったほうが適正かもしれない。

そんな議員を住民側から見たらどうだろう。近年、政務調査費のごまかしなど地方議員の不祥事が相次ぎメディアで報道される。住民側から見たら議員に対する信頼度はゼロに等しい。会えば、先生と頭を下げられ、いい気になっていると陰ではバカにされていることを想像しなければ益々バカを演じることになる。

さて、議会改革を進めようとしたが、全くまともな話にならない。全員は多すぎるという事で16人の中から6人が核となって作業部会として会合を持ち、目的は議会基本条例の制定へ向けての作業なのだが、この6人というのが希望者で募ったところ新人議員ばかり。

その6人がなんで希望したかと言うと、報酬値上げである。改革委員会を報酬値上げの委員会と勘違いしていたことだ、考えていることが全く違うわけだから話が合うわけがない。

報酬を上げることには反対ではない、しかし、その前に、議会としての改革を進め、活動の方向性や住民との意見交換などを通じて議員としての自覚や、政策提言などの努力が必要だ。本会議中に居眠りばかりしている議員を理事者が見てどう思うだろうか、真剣さがない、だらけているなど、報酬値上げを審査する側としてそのことが一番大事な基準になるはずである。住民は反対しても一時的で納得せざるを得ないがそれが問題ではない。

それなりに社会で人生経験をしてきた大人がなぜそれが分からないのか、報酬が安いから議会活動ができない。議会活動で会社を休んだらその分給料が減るから報酬を上げてもろうたら議会活動ができるなど、つまり、会社の社長に対して「給料上げてくれたら仕事してあげるわ」と言うのと同じである。

更に、ベテラン議員が中心になって進めるべきものを、新人ばかりで始めたわけだ。ベテラン議員は改革の意欲はなしそのような状況で改革は初めから不可能が見えていた。議会基本条例にしても、そのことによって議員の仕事が増えるとか、縛られるとか、住民のことよりも自分のことしか考えてないという事。

藍住町は今のところ大した問題はないにしても、住民から見放された議会、執行側からも信頼されない議会の存在は、近隣など改革に取り組んでいる議会からは、質の問題で大きく離されている。それが、地域の課題や住民の声を聴く力が弱くなると、地域間の格差が生じてくる。

公共投資、文化事業、福祉政策など問題は山ほどある。住民から信頼される議会であれば様々な情報も議会に寄せられる。それによって町全体の安心のある暮らしやすいまちづくりが実現するのである。また、住民から期待されれば議会に対する魅力も感じてもらえるはず、その中から質の高い議員の誕生も夢ではない。

議会のだらしなさを見て、残念に思うのは議会だけではない、町側、理事者、町長をはじめ職員も町民も、誇れるものではない。一人でも二人でも本気で改革をやろうという議員が出てくることに期待して根気よく待つしかない。必ず改革のチャンスが訪れることに希望を抱きつつ。