7月18日~20日北の大地・北海道・幕別町・栗山町へ行政視察研修を実施

●18日午後幕別町に到着
幕別町は十勝総合振興局のほぼ中央に位置しており、帯広市東部に隣接。町北部に十勝川が流れ、流域は平野となっている。その他の地域は丘陵地帯。町内の標高の最も高い地点は豊頃町との境界にある山の331mだが、町の中央部の大部分は標高60mから130m程度の上が真っ平らな台地である。

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最初に訪れたのはパークゴルフ場
パークゴルフ発祥の地として知られる幕別町では、子どもからお年寄りまで世代を超えて楽しめるコミュニティスポーツとして連日内外からたくさんの人が訪れている。「幕別町を訪れた人はまずパークゴルフを楽しんで」との案内を受けていたので全員で体験することに。

前日の雨の影響もなく涼しさの中快適な気分で早速プレーを開始、起伏にとんだ地形と樹木の緑がコースを回る楽しさと面白さを実感、連日多数の利用者で賑わうパークゴルフは幕別町の健康推進、コミュニティ強化、観光資源として多いに貢献していると感じた。


池田町ワイン工場見学
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ワイン城入り口に樽・有名ブランド十勝ワイン(右)

十勝ワインの町”としての知名度がある池田町、今から60年ほど前には苦難の時代があった。1950年代前半、この町は度重なる自然災害に見舞われ、昭和31年(1956)には赤字再建団体に指定されてしまう。「この苦境から、どう脱却するか」という大きなテーマから生まれたのが、池田町でのブドウ栽培だ。

昭和38年(1963)に日本最初の自治体ワイン「十勝ワイン」が誕生した。当時の町長・丸谷金保が町内に自生している山ブドウをヒントにワイン醸造に乗り出すことを思いつき、ドイツのミュールハイムに町の職員を派遣する。ライネル・マルゲートが営むワイン醸造所に飛び込みで修行するという型破りのスタートだった。

池田町は寒冷地であるため、町はその気候・風土に合ったブドウ品種の開発に力を注ぎ、昭和50年には独自品種「清見」をつくり出した。その後、「清見」と「山ブドウ」の交配品種である「清舞」・「山幸」の開発に成功し、現在もオリジナリティを追求したワイン造りを進めている。

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池田町の町・ワイン城(右)

北国特有のブドウの豊かな酸味を生かし、十勝ワインの路線は辛口。原料の酸味の強さが生み出す良質なスパークリングワインやブランデー等を製造しているのも、十勝ワインの特徴のひとつ。十勝ワインの歴史は“池田町のまちづくりの歴史”といえる。

試飲コーナーもあり辛口だが美味しくて飲みやすい、何杯でも飲みたくなるワインだ。


●19日、幕別町役場を訪問

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・新しく完成した新庁舎で、飯田町長・芳滝議長・町職員の暖かい出迎えを受けた。
パークゴルフ場の運営状況、まちづくり町民参加条例の制定について、本会議場等について、幕別町百年記念ホール、施設の概要と運営について研修を行った。

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研修資料・研修会

1983年6月に誕生したパークゴルフは、鳥取県東伯郡泊村(現在の湯梨浜町)で考案されたグラウンドゴルフをヒントに発案され幕別町が発祥の地とされている。人にやさしく自然にやさしく誰もが楽しめる遊び“を原点とした3世代スポーツ。

パークゴルフによる効果として、地域交流3世代交流、国際交流、教育効果、土地の有効利用、観光開発、経済効果など、例年、国内外から約30万人の来場者が訪れている。

●幕別町まちづくり参加条例は平成12年9月に制定された。
目的第一条には、「地域住民と行政が一体となり、お互い尊重し協力し合い、安心して住むことができる快適で豊かな町づくりを行うため、地域住民自らが行政と協働し、まちづくりに参加する各種事業に対し交付金を交付することを目的とする。」

として、まちづくりに対する事業、例えばコミュニティ支援事業では、ふれあい祭りに必要なイベント機材の借り入れ購入費等の経費。環境美化運動にかかる費用、防災活動費用などが交付され、現在20の事業が行われている。まちづくりが住人、行政が一体となりコミュニティ形成にもつながり住民と行政との信頼関係も築かれているように感じられた。

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議場・庁舎内には売店もある(作業中でも自由にコーヒー等が飲める)

新しく新築された庁舎の議事堂では最新鋭のICTシステムが導入されている。理事者とは対面方式になっていて質問者は理事者に向かって質問する。質問者や答弁者はモニターに映し出され表情が視聴者に伝わるようになっている。

議案に対する賛成反対の意思表示は議席のボタンによって電光掲示板に表示される。議場内ガラス張りになっているのも珍しい。議会の様子が住民に対してオープンになっていて情報公開に積極的な取り組みであることがわかる。

傍聴者対応のため参加者多数を想定してロビーに32インチのディスプレイを設置し、議場外で議会の進行状況が確認でき住民への配慮が感じられる。

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百年記念ホール、ロビーオブジェ・800人収容のホール(右)

●場所を移動して幕別町百年記念ホールを視察。
百年記念ホールは、文化ホール機能、学習援助機能、図書館分館機能の3つの機能を兼ね備え生涯教育の施設として、多くの人々に愛され地方文化の発展と充実した生涯教育を目的としている。

ホール800席・一般学習、行動・会議室、特別研修・木工芸室等、図書館・AVライブラリー、共有スペース・センター・ロビー・ギャラアリーなど複合施設は多くの住民の多彩な学習の場として提供され住民への思いやりが感じられた。

コンサートや演劇といった舞台公演から、幕別町の式典や集会、大会などに広く使用される最大収容人数800人のホールの客席。北海道内でも指折りの反響効果を持つホールは、多くの利用者の満足のある空間のようだ。

事業運営の収支は5~7%の利益を上げているとのことだった。施設運営は採算性が難しく普通は赤字になるのが通常だがこの施設の稼働率の高さがよく表れている。それだけ地域住民に愛されていることが素晴らしい。

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百年記念ホール内会議室・幕別町庁舎をバックにポーズ(右)

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20日・研修最終日・栗山町議会視察

栗山町庁舎

午前10時栗山町へ到着、町長、鵜川議長、他2名の常任委員長、議会事務局らの歓迎を受け研修を行った。栗山亜庁と言えば全国で最初に議会基本条例の制定を行った議会として、その知名度は全国に浸透している。

今でも連日視察を受け入れ対応されている。議会改革は栗山町に続けと各種研修においても必ず栗山町が出るほど有名である。

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栗山町街並み

栗山町は北海道、札幌から車で約1時間の位置にあり、夕張市などが隣接する稲作を中心に多品種の野菜栽培が行われている。現在人口は12、000人余りの町。夏は涼しく冬は温暖で過ごしやすいと言われている。

そんな栗山町に議会改革が全国先駆けて進められたのはどのような理由なのか、条例制定のきっかけは、住民に対する議会報告会を通じて住民からの提案であった。当時の橋場議長はその必要性を感じていただけにチャンスと捉え制定に取り掛かったと話している。

「平成12年4月の地方分権一括法の施行以来、地方議会の役割は極めて広範囲にわたり、その責任の度合いはこれまでと比較にならないほど重くなった。町内全体への目配りのためにも住民との協働による議会を目指さなければならない。

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研修・議事堂・大画面のディスプレイが設置されている。

その中で、栗山町議会は、平成13年9月から今日まで時代に対応した議会改革、議会活性化策に努め、真に「町民に開かれた議会づくり」に取り組んできた。議員及び議会にとって、議会の改革・活性化は永遠の課題である。

町民の代表たる多人数による合議制の機関として、町民の意思を町政に的確に反映させるためにも、今後も、継続して議会の改革・活性化に取り組んでいかなければならない重要なテーマだ」。等により条例制定の説明をしている。

•町民や団体との意見交換のための議会主催による一般会議の設置。議会報告会とは別に各種団体から要望があれば何回でも開催する)

•請願、陳情を町民からの政策提案として位置づけ(一般会議などでの要望として柔軟に住民の意見を聞き政策提言として受け止める姿勢が素晴らしい)

•重要な議案に対する議員の態度(賛否)を公表(議員の真剣度が試される制度は住民にわかりやすく根拠と納得が説明できなければいい加減に対応できない議員の責任が問われる)

•年1回の議会報告会の開催を義務化(議会が手分けして各地域へ出向き住民からどんな質問も受け回答しなければいけない、議員が一番緊張する場面であり成長できる場所でもあると議長は語る。)

•議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与(一般質問で議員の質問に対して理事者にも反対に質問を受けると言うもの、いい加減な質問をしていると反対にやり込められて赤恥を描くことになり、質問内容の精度が上がる。)

•政策形成過程に関する資料の提出を義務化(どのような事業になるのか後から説明を聞くと言うものでなく構想段階から資料を提出させることにより議会が納得して事業が進められるようになる。ほとんどの議会では後から説明を受けるのが実態だ。)

•5項目にわたる議決事項の追加(まちづくり総合計画など議会の議決項目に追加している点も画期的。他の議会では、後から説明を受けて素通りするのが当たり前になっている。)

•議員相互間の自由討議の推進(議員同士が議論しないでなんであの案件が賛成か反対なのか住民には理解できないことも多い、そのた討論を行い賛否の理由を明確にすることで住民に分かりやすくしたもの。)

以上が主な議会改革の内容である。本会議場では、住民と議会、職員、町長の四者が議論をする場所である、議会がどのように進められているのかが住民に分かりやすく納得の得られる議会の取り組みは栗山町のみならず、周辺自治体議会をはじめ全国に波動を広げている。

これからの議会の在り方は、議員は特別の存在ではなく、住民の代表として町政運営の責任者として行政にも可能な限り関わり、住民の意見に耳を傾け職員とともに協働しながらまちづくりを進めていくことだ。その為に日々の研さんを怠ってはいられない。

住民との関係では、よく意見を聞き、行政、議会の情報公開を徹底して行い、住民との協働で共にまちづくりの推進していくことを目指している。地方議会の模範となる北の大地の取り組みは、多いに参考にすべき課題を提供してくれた。

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錦水庵・数百年の歴史ある酒蔵は観光資源として大切に保存されている(右)

研修を終え昼食は錦水庵「そばと酒」で取ることに。栗山町、椿原町長、職員同席の昼食、町長は「歴史のある酒蔵を大切に守り観光名所として町の発展につなげていきたい」と語り町の誇りを訴えた。

建物は昭和元年に建築された民家を改造したもの、店内にはJAZZが流れ、歴史観のある部屋は何となく落ち着く、くつろぎの粋なおしゃれ感がある。

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試飲コーナーで飲んでみた。最高の味わい

栗山町は、全国一の米どころ空知の南にある町、山里の地酒として、世界一と誇れる日本酒文化を守っている。試飲コーナーでまずは一杯。ここ栗山町でしか味わえない何とも言えない深みのある銘酒。

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最初に、そば米・天ぷら・蕎麦・アイスクリームと続く4品

2泊3日の北海道、各町への視察研修を終えて、北海道はとにかく広いこと藍住町の2~30倍の地域で議員活動も広範囲になり日々の活動もさまざまな困難を超えて頑張っている様子が伺えた。